CASE STUDY

サンデン株式会社 様

いつでも簡単にビデオ会議の予約・確認可能な
ユーザインターフェースが成功の秘訣
既存のシステムを有効に活用し、
ユーザフレンドリーなビデオ会議環境を実現

サンデン株式会社 様

自動車のエアコン用コンプレッサーや自動販売機、店舗ショーケース等の製品で信頼と実績ある技術力を誇るサンデン株式会社。特にカーエアコンコンプレッサーにおいては、世界の自動車の4台に1台がサンデン製というほどのシェアを持つ。また、近年は長年蓄積された「冷やす・暖める」技術にIT技術を融合させ、新しい視点から多様な分野の製品開発に積極的に取り組んでいる。同社は群馬・東京本社と海外23カ国の拠点とのコミュニケーションにテレビ会議システム、Web会議システムを効果的に使用することで、「現場と直接話すことの徹底」を日本の本社にいながら成功している。いわば“逆転の発想”である。しかし、現在これほど活用されているビデオ会議機器も、数年前まではほとんどまったく使われていなかったという。同社が「眠っていた」既存のシステムを生かし、ユーザにとって親しみやすいコミュニケーションツールとして再生させることのできた秘訣に迫るべく、群馬県伊勢崎市にある本社内「グローバルマネジメントセンター」にて導入に係わった人物にお話を伺 った 。

導入の経緯:本社に海外の「現場」とコミュニケーションできる“求心力”を

同社は、設立より比較的早い時期から積極的な海外展開を行い、現地にいるスタッフがその土地にあった効率的な経営を行うことで発展してきた。これらの現地法人らと直接会話するため、会社役員や社長までもがおよそ1年の半分をかけて世界中を視察してまわっていたという。海外でも「GENBA」という言葉が通用するほど「現場を見ること」「現場と直接話すこと」を尊重する会社の理念を徹底しているためである。

「しかし、設立から65年を経て、サンデンの歴史には新しい区切りが必要でした。海外現地法人がいわば『遠心力』なら、今必要なのは、経営陣が日本の
本社にいながらにして世界の「現場」を見ることのできる『求心力』。そして、それをITの力で実現できないだろうかと考えたのです。」とサンデン株式会社 IT本部 辻氏は語る。

サンデン株式会社の新しい時代を託されたIT本部は、同社の情報システム・ネットワーク環境を担うサンデンシステムエンジニアリング株式会社のスタッフ
とともに調査を開始。長年所有していながら、これまであまり使われることのなかったテレビ会議システムに着目したのだった。

選定のポイント:「いつでも・誰でも・簡単に」ビデオ会議ができることの難しさ

これまでテレビ会議が使われていなかったのはいくつかの理由があった。設備のみならず、接続先のアドレス情報などの管理が煩雑であること。「設備があることはわかっていても、実際にユーザはどのアドレスにコールすればよいのかが分かりませんでした。機器の管理のみならず、アドレス帳やテレビ会議の予定をどのように一元管理するのかということがもっとも問題でした。」とサンデンシステムエンジニアリング株式会社 天笠氏は振り返る。コストの点から専任者を増やしたり、おおきな設備投資をすることなく、ユーザがいつでも会議の予約を行える仕組みを作れないだろうか。会社全体の動きにかかわるシステムだからこそ、導入までには様々な課題と大きな懸念があった。

これらの課題と懸念を一掃したのが、TANDBERG Codian MCUを利用した、「MCUオペレータ」(TANDBERG正規販売代理店株式会社メディアプラス開発)だった。Webブラウザ上から、接続先とカレンダーの日時を選択するだけで誰でも簡単にテレビ会議を行うことができるうえ、時間になったら自動的に会議がスタートされるので、面倒なリモコンからの呼び出しも不要。はじめて同社にとってテレビ会議が、会社役員、人事本部、総務本部など幅広い層のユーザが簡単に使用できる身近なものとなった 。

本社にある「グローバルマネジメントセンター」には役員がストレスなく会議を行えるよう、初めてTANDBERGのHD(高解像度)画質のテレビ会議端末を決定した。これまでは他メーカのSD(中解像度)テレビ会議端末を使用していたが、Codian MCUのもつ異スペック間での相互接続性によって、スムーズに追加導入を行うことができた。

テレビ会議が浸透して来るにつれ、さらにより多くのユーザが会議に参加できるよう、当時各メーカから続々リリースされ始めたWeb会議システム※にも注目した。「自席のPCから会議に参加できること、というのは当初から必要と考えていました。しかし、テレビ会議専用端末とも接続互換性がなければ、せっかくの既存設備は無駄になってしまいます。様々な製品を比較検討しました。」とサンデン株式会社 IT本部 横山氏は語る。そして選出されたのがAvistar C3だった。AvistarはH.323テレビ会議システムとの接続互換性があり、PCどうしでの接続はもちろん、既存のテレビ会議専用システムとも通話できる。ユーザはPCから、テレビからといった区分けを意識することなく会議を行う事ができるようになった。

サンデン株式会社にとってのビデオ会議はもはや会議室の枠を超え、誰にとっても『GENBA』と直接コミュニケーションをとるための日常のツールとして
浸透してきている。

※:ここでは、Webカメラとオーディオデバイスを接続し、PC上でビデオ会議を行うことのできる製品をWeb会議と定義しています。

現在の運用と評価:海外出張をビデオ会議におきかえコストを大幅削減

現在では、日中は国内拠点と、そして夕方から夜間にかけては時差のある欧州との役員会議、といった具合にほぼ一日中フル稼働している。会議の予約はユーザそれぞれが行うため、深夜の会議がIT部門の負担になることもない。

MCUをはじめとしたインフラ設備はサンデンシステムエンジニアリングのサーバ室に設置され、ビデオ会議に使用するネットワークは社内ネットワークをメインに、一部インターネットを使用している。

「これまで年間に何度も何度も多くの人が海外出張を続けてきたことを考えると、コストの点でも、そして時間と労力の点でも、テレビ会議システムを活用
できたことの効果ははかりしれません」と辻氏は評価する。海外との日々のコミュニケーションはもちろん、国内拠点間でも手軽にビデオ会議を行うようになった。

「東京と群馬県の本社間、赤城事業所との行き来がなくなり、時間のロスが無くなった」「IP通信で会話できることで、電話通信料が相当節減されているは
ず」「飛行機や自動車の移動が大幅に減ったことで、CO2排出量の削減効果も大きい」と様々な点からテレビ会議効果についての発言が飛び出した。

今後の展望:環境保護のための手軽で強力なツールとして活用

サンデン株式会社では、次の時代の柱となるキーワードは「環境」と考え、保護の為に何ができるかを社員一人ひとりが提言する取り組みを行っている。近年は環境に配慮したハイブリッドカー向けのカーエアコンコンプレッサーやCO2自動販売機、ノンフロンの店舗ショーケースシステムに加え、リサイクル性向上にむけた研究開発も積極的に行っている。また、緑豊かな前橋市粕川町にある赤城事業所は「サンデンフォレスト」の別称を持ち、貴重な動植物の保護に力を入れている。

今回の取材を経て、今までは便利だからという理由だけで何気なく使っていたビデオ会議がCO2排出量の削減などで環境保護にもおおいに貢献していることを振り返り「社員が、環境保護のためにより意識的にビデオ会議を活用してくれたら良いですね」と締めくくった。

サンデン株式会社

群馬県伊勢崎市寿町20

http://www.sanden.co.jp/